〈アブストラクト〉
1型糖尿病(T1D)のリスクが高い非糖尿病近親者を対象とした既報のランダム化比較試験参加者を対象に、テプリズマブ治療の14日間単回コースが代謝機能と免疫細胞に及ぼす影響を解析した。 テプリズマブ治療の既報の延長追跡調査(中央値923日)において、診断までの期間の中央値は、テプリズマブ治療参加者で59.6ヵ月、プラセボ治療参加者で27.1ヵ月であった(HR=0.457、P=0.01)。 テプリズマブ治療群の50%が糖尿病と無縁であったが、プラセボ治療群の22%のみが糖尿病と無縁であった。 耐糖能、C-ペプチド曲線下面積(AUC)、インスリン分泌率が算出され、T細胞サブセットおよび機能との関係が解析された。Teplizumab投与によりβ細胞機能が改善し、試験中の平均C-ペプチドAUC(1.94対1.72pmol/ml;P = 0.006)に反映された。 薬物治療により、登録前のインスリン分泌の低下が逆転し、その後、プラセボ治療でみられたC-ペプチドAUCの低下が安定した。 薬物治療後のプロインスリン:C-ペプチド比は治療群間で同様であった。 テプリズマブ治療によるC-ペプチドの変化は、IFNγおよびTNFαの分泌低下を示した部分的に疲弊したメモリーKLRG1+TIGIT+CD8+T細胞の増加(r = 0.44, P = 0.014)と関連していた。 テプリズマブの単回投与は、T1D診断の遅延に持続的な効果を示し、高リスク者のβ細胞機能を改善した。 CD8+ T細胞サブセットの変化から、部分的に疲弊したエフェクター細胞が臨床的反応と関連していることが示された。 このように、本試験は免疫療法による代謝反応の改善と糖尿病の遅延を示した。
Sims, E. K., Bundy, B. N., Stier, K., Serti, E., Lim, N., Long, S. A., Geyer, S. M., Moran, A., Greenbaum, C. J., Evans-Molina, C., Herold, K. C., & Type 1 Diabetes TrialNet Study Group (2021). Teplizumab improves and stabilizes beta cell function in antibody-positive high-risk individuals. Science translational medicine, 13(583), eabc8980. https://doi.org/10.1126/scitranslmed.abc8980