1型糖尿病医師のつぶやき

【人生の可能性は無限大】インスリンさえ打てば、何でもできる。時々医者目線の患者の歩みです。

【医学論文】若年T1DMのDKA予防に長期作用型インスリンとポンプの併用療法

アブストラクト

 

【背景】

1型糖尿病(T1D)のコントロール不良の青少年や、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)につながるポンプによるインスリン投与の失敗は、欧米諸国では依然として難しい問題である。

 

【目的】

コントロール不良の小児および若年成人1型糖尿病患者において,長時間作用型インスリンの基礎投与とポンプによるボーラス投与の併用が,DKAの発症率および血糖パラメータに及ぼす影響を検討する。

 

【方法】

この多施設共同観察レトロスペクティブ研究では、臨床治療の一環として併用療法を中央値18ヵ月[(IQR)12,47]受けた55例(年齢範囲3~25歳、男性52.7%)を対象とした。 データは、併用療法開始時、6ヵ月後、および最終診察時に回収された。

 

【結果】

併用療法開始時の年齢中央値は14.5歳[IQR12.4,17.3]、HbA1c値中央値は9.2%[IQR8.2,10.2]であった。 併用療法開始の主な理由は以下の通りであった:

(a)現在の管理では持続的な高血糖が懸念される41.8%

(b)過去のDKAエピソード30.8%

(c)ポンプの連続装着拒否14.6%

 

DKAを経験した患者のうち、その治療法を最後まで使用した患者の割合は25.4%から8.8%に減少した。 患者1ヵ月あたりのDKAイベント頻度は、6ヵ月後には0.073(最小0、最大0.5)から0.020(最小0、最大0.5)、p=0.01に減少し、終了時には0.016(最小0、最大0.25)、p=0.007に減少した。

 

【結論】

1日1回長時間作用型インスリンとボーラス用ポンプの併用療法は、安全で、実行可能であり、高度閉鎖型ポンプを使用できないか、使用したくないコントロール不良の若年T1D患者のDKA予防に有効である。

 

Barash, G., Lerman, L., Ben-Ari, T. et al. An “out of the box” approach for prevention of ketoacidosis in youth with poorly controlled type 1 diabetes: combined use of insulin pump and long-acting insulin. Acta Diabetol (2024). https://doi.org/10.1007/s00592-024-02264-7

 

pubmed.com/m/38762619