〈アブストラクト〉
【背景】
1型糖尿病(T1DM)は心血管疾患(CVD)の発症リスクを高めることが証明されている。 しかし,T1DMとCVDの因果関係は,管理されていない交絡因子や観察研究における逆因果バイアスのために不明確なままである。
【方法】
MRの一次解析のために、ヨーロッパ人の祖先を対象とした最大規模のゲノムワイド関連研究(GWAS)とFinnGenバイオバンクからT1DMと7つのCVDの要約統計量を抽出し、検証のためにUKバイオバンク(UKBB)を用いて解析を再現した。 MRの推定には、3つの補完的手法:逆分散重み付け(IVW)、重み付け中央値、MR-Eggerが用いられた。 潜在的なpleiotropic効果は、MR-Egger interceptとMR-PRESSO global testによって評価された。 さらに、多変量MR(MVMR)解析を行い、T1DMが潜在的交絡因子を調整した上でCVDに独立した影響を及ぼすかどうかを検討した。 さらに、T1DMとCVDの間の因果関係に対するこれらの因子の潜在的な媒介効果を評価するために、2段階のMRアプローチが用いられた。
【結果】
末梢動脈硬化(オッズ比[OR]=1.06、95%信頼区間[CI]:1.02-1.10、p = 0.002)]および冠動脈硬化(OR = 1.03、95%CI:1.01-1.05、p = 0.001)に対するT1DMの因果関係が認められた。 この結果は、水平プレイオトロピック効果によるバイアスが少ないものであった(MR-Egger interceptおよびMR-PRESSO Global testのp値はいずれも>0.05)。 次のMVMR解析では、末梢動脈硬化と冠動脈硬化に対するT1DMの因果効果は、一連の潜在的交絡因子を調整した後も有意であることがわかった。 さらに、T1DMの末梢動脈硬化症に対する因果作用の一部を高血圧が媒介すること(全効果に占める媒介効果の割合:11.47%、95%CI:3.23-19.71%)、冠動脈硬化症に対する因果作用の一部を高血圧が媒介すること(16.84%、95%CI:5.35-28.33%)を見出した。 T1DMと心不全(HF)、冠動脈疾患(CAD)、心房細動(AF)、心筋梗塞(MI)、脳卒中など他のCVDとの間に有意な因果関係は認められなかった。 CVDからT1DMへの逆のMRについては、有意な因果関係は同定されなかった。
【結論】
このMR研究は、末梢動脈硬化と冠動脈硬化に対するT1DMの因果関係を支持する証拠を提供し、高血圧がこの効果を部分的に媒介した。
Liu, Z., Wang, H., Yang, Z., Lu, Y., & Zou, C. (2023). Causal associations between type 1 diabetes mellitus and cardiovascular diseases: a Mendelian randomization study. Cardiovascular diabetology, 22(1), 236. https://doi.org/10.1186/s12933-023-01974-6
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10475187/
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