〈アブストラクト〉
1型糖尿病(T1DM)は糖尿病の主要なサブタイプであり、通常、若くしてインスリン欠乏症と診断される。 T1DM患者の平均余命は、外因性インスリンの利用が可能になったため、30年前と比較して大幅に延びたが、健常人と比較すると依然として短い。 しかし、T1DMと老化関連疾患としての認知症との関連は不明なままである。 我々は、Medline、EMBASE、Google Scholarの電子データベースで検索を行い、T1DMと認知障害に関する既存文献の系統的レビューを行った。ヒトを対象とした研究に限定し、2型糖尿病や非分類糖尿病に関する研究は除外した。 まず、若者と成人それぞれにおけるT1DMと認知機能の変化の関係についてメタアナリシスを行った。 次に、T1DMの認知合併症とT1DMの特徴、血糖コントロール、糖尿病合併症、併存疾患などとの関係に焦点を当てた。 まず、発症年齢、罹病期間、血糖調節異常が認知機能の変化と関連していることを明らかにした。 次に、糖尿病合併症として、糖尿病性ケトアシドーシス、血管症、神経障害が認知障害との関連を検討した。 最後に、肥満度と血圧について、認知機能の変化との関連を検討した。 T1DMに関連した認知障害や痴呆の病態を解明するためには、今後の研究が必要である。
Li, W., Huang, E., & Gao, S. (2017). Type 1 Diabetes Mellitus and Cognitive Impairments: A Systematic Review. Journal of Alzheimer's disease : JAD, 57(1), 29–36. https://doi.org/10.3233/JAD-161250
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28222533/