1型糖尿病医師のつぶやき

【人生の可能性は無限大】インスリンさえ打てば、何でもできる。時々医者目線の患者の歩みです。

ステロイドと糖尿病

プレドニンは血糖値が上がる!

 

ステロイド糖尿病という用語があるくらいです。

 

ここでは1型糖尿病でインスリン治療中の場合に、注意すべきタイミングとその背景について書かせてもらいます。

 

プレドニンとは、副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイド)のことです。一般的にはよくステロイドと呼ばれます。これは、免疫を抑制するので、アレルギーや自己免疫の治療に多用されています。血液の細胞を減らすので、一部のがんにも効果的な治療薬です。

 

ステロイドには、実は3種類あります。

一つがボディービルダーが筋肉を増やすために飲むことで有名なアンドロゲン(男性ホルモン)

二つ目が、体内の塩や水の量を調節する硬質コルチコイド。

そして、三つ目が今から書かせてもらう糖質コルチコイド(プレドニゾロン・メチルプレドニゾロン・デキサメタゾン等)です。

 

これらは3つともステロイドホルモンですが、ここでは糖質コルチコイドを指して、ステロイドと書かせていただきます。

 

ここで書くステロイド(糖質コルチコイド)は、インスリン抵抗性を上げ、体脂肪も増やします。加えて、筋肉を壊してタンパク質を糖質に変える、糖新生も促します。

 

なので、朝食前の血糖値は正常でも、食後の血糖値が非常に高くなりやすいお薬なのです。その中でも、特に昼食後2時間が最も高くなりやすいと言われています。(ステロイド糖尿病については、別の記事で書かせてもらいます。)

 

インスリンを注射で入れないと足りない1型糖尿病患者にとっては、ステロイドは大変対応が難しい薬剤です。だって、普段から組織(細胞)に糖を取り込みづらいが故に、血糖値が上がり易くて困っている状態なのですから。ここに、さらにこの困りごとを増強する作用を持つお薬を入れると、インスリンの需要がグッと上がります。

 

だから、自分で十分インスリンが出せない1型糖尿病では特に、プレドニンを使う時はインスリンを増量して調整しなければなりません。

 

では、どれくらい増量すれば良いのでしょうか。

 

これには、明確な回答があるわけではありません。当然、内服量によっても違いますし、投薬期間によっても違います。

 

毎日内服しているのであれば、毎日同じだけインスリンの割り増しが必要です。だから、もし、同じ量をずっと飲み続けているのであれば、その状態に調整したインスリン量を毎日同じように投与することになります。

 

しかし、プレドニンの増量や減量をした際には、インスリンの必要量も変化する可能性があることをお忘れなく!

 

そして、短期間だけ普段は使用しないステロイドを投薬する場合には、さらに注意が必要です。上がり幅も、昼食後周辺と夜間の下がり幅も未知数です。トライアンドエラーを繰り返し、増量の程度、増量のタイミング、そしてボーラスを投薬するタイミング、増量幅、そしてボーラスを控えるタイミングも知る必要が出てきます。さらに、投与日数が増加するとインスリンの需要が上がる一方で、減薬時の需要低下も重なります。増量が足りなければ高血糖になり、時間や日数、投薬量によって速やかに減薬しなければ、低血糖が待っています。高用量を点滴や内服中は基礎インスリンを増量しなければ、ケトアシドーシスになってしまいますが、ステロイド減薬時は基礎インスリンを元に戻して、ボーラスのみを大幅に増量した方がいい場合もあります。朝のみのステロイド投薬では、朝食と昼食で食前のインスリン量増量幅も違い、夜間は食前もボーラスも抑え気味の増量(ないし平時同様の投与量)がいい場合もあります。逆に、朝昼晩のステロイド投薬ではインスリンの需要は夜さほど下がらない場合もあります。当然、その他の環境因子も影響します。

 

体のインスリン抵抗性も変化しますし、糖新生で筋肉を糖に変える作用も変化します。このような変化がある時期には、普段以上に血糖値の測定に気を配り、その変化と傾向を認識しましょう。

 

そして、この変化と傾向に合わせて、インスリンの投与量を適宜調整しましょう。(あるいは、入院での調整や受診頻度を平時より詰めて主治医に調整してもらいましょう。)

 

ステロイドの内服量の増減時期は高血糖や低血糖に特に注意しましょうね。

 

実は、このステロイドというやつは、体に負荷がかかった時に自然に分泌量が増えるホルモンでもあります。

 

風邪や手術はもちろん、結婚や出産、入学や入社、修学旅行などの嬉しい変化でも体にとっては負荷なのには注意が必要です。

 

お薬として飲んでいなかったとしても、良くも悪くも変化がある時は血糖値に気を配りましょう。適宜、インスリン量を調整すればきっと乗り切れます。

 

私達の臓器は、24時間365日休みなく様々な調整をしてくれているから、本当に凄いですね。

 

我ながら、自分の体に関心してしまいます。

 

そして、臓器の代わりに手動でインスリン量を調節しようとする1型糖尿病では、労力も半端ないです。そして、どうやったって、体のオートドライブには敵いません。私達が上手く日常生活回してるだけでも、本当に凄いですよね。

 

自分で自分を褒めましょ😉

 

注意点は多いですが、良い加減で上手くやりましょう😊

 

今日も安定した血糖値を!